日本のIT産業が世界で存在感を示すには、技術開発・国際標準化・人材育成が不可欠です。 

製造業やIoT領域の強みを活かし、研究開発やグローバル人材戦略を強化することが、次世代競争力のカギとなります。 

今回は、日本のITが世界に通用するために必要なことを解説します。 

【危機感必須】GAFAMに支配される日本IT産業の現実と課題 

2025年、日本のIT産業は成長を続けている一方で、グローバル競争力という視点では依然として課題を抱えています。 

アメリカや中国がAIやクラウドといった分野で世界をリードする中、日本は特定のハードウェアやニッチな技術分野で存在感を保つ程度にとどまっています。 

たとえば、クラウドインフラの世界市場では「GAFAM」など海外勢が圧倒的シェアを持っており、日本企業の多くはそのプラットフォームに依存しているのが現実です。 

また、AI開発においても日本企業発のグローバルプロダクトは限られており、研究や事業化のスピードに大きな差があります。 

スタンフォード大学も「AIエコシステムは各国でバランスを取って発展することが大切である」と発表しており、日本のAI産業の発展の鍵がそこにあると考えられるのです。 

参照元：https://hai.stanford.edu/ai-index 

こうした状況を踏まえ、日本は“内需中心のIT活用”から、“世界を見据えた技術戦略”へと舵を切る必要があります。 

【勝機はここにある】研究開発×国際標準化で世界に挑む日本の戦略 

グローバル市場で存在感を高めるために不可欠なのが、研究開発への投資と国際標準化への積極的な参画です。日本企業はこれまで、国内市場向けの技術開発を重視してきましたが、それでは世界の技術潮流に追いつけません。 

たとえば、製造業ではIoTやAIを活用した「スマートファクトリー」分野で強みを持っており、ここを基盤にした独自のソリューションでグローバル展開を図る企業が増えています。 

加えて、国際機関や業界団体との連携を強め、標準仕様の策定に関与することも重要です。 

また、大学や研究機関と企業の共同研究を通じて、世界と戦える技術力を高めていく動きも求められます。政府もこの分野を重点支援領域とし、補助金や税制優遇で後押ししています。 

【人材こそが最大の資源】世界と戦えるIT人材を育てる日本企業の挑戦 

日本企業にとって、技術だけでなく「グローバルに活躍できる人材」の確保が重要です。 

英語での交渉、異文化との協業、海外市場への適応など、多様なスキルが求められます。しかし、こうしたIT人材は日本ではまだ不足しているのが実情です。 

そのため、企業は外国人技術者の採用や海外拠点の活用、社内のグローバル研修強化に力を入れています。また、若手を海外派遣したり、リモートで国際チームと協働したりする動きも増えています。 

2025年以降、日本のIT産業が世界で再び存在感を示すには、「技術・制度・人材」の三位一体での改革が欠かせません。