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ヘルスケアにおけるブロックチェーン

June 14, 2019


何世紀にもわたり、医学は技術進歩の最前線にあり、臨床研究、エビデンスに基づく実践、そしてツールとプロセスの継続的な開発と改良の道をリードしてきました。しかし、ITへの適応となると、医療当局は遅れているのが現状です。 2017年の報告 によると、英国の国民健康サービスが世界最大のファックスの購入先でした。医療部門が大幅な変更を行うことに消極的なのはいくつかの理由があります。利益が不明な大規模変更への消極的アプローチ、絶えず変化し発展し続けている技術を採用する際の費用対効果に関する懸念、システムの持続性の予測の困難さ等です。これはヘルスケアが、最も機密性が高く個人的な性質の膨大な量のデータを扱う分野であり、ミスが致命的な人的影響をもたらす可能性があるからです。
したがって、ヘルスケアにおけるブロックチェーンの採用は初期段階にあります。医療記録の保存とアクセスにブロックチェーンを使用することには明確な利点も、障壁もあります。


ブロックチェーンはヘルスケアのどこにフィットするか
  • 機密性とプライバシー: 医療記録の機密性に注意を払う必要がありますが、この技術は分散型の公衆アクセスデータでも暗号化するので、医療記録の対象である「鍵」の所有者だけがデータへのフルアクセスを許可することができます。
  • 分散型ストレージと情報の移植性: 特に個人の健康データに関係します。個人のデータ所有の拡大を可能にし、世界中の医療提供者間で緊急時の医療記録の参照等、情報の移動を容易にします。
  • アクセシビリティと透明性:個人の健康情報は、発見可能、遡及的、そして安全であるべきであり、健康記録は法的文書として扱われ、変更できないようにする必要があります。ブロックチェーンは不変であり、したがって不可逆的です。
  • 相互運用性: 健康記録、製薬記録、病理学的記録、社会医療記録など、すでに多数のシステムが使用されています。これらは独立したシステムであり、同じヘルスケア設定内であっても必ずしも互いに統合されるとは限りません。選択した機関にアクセス可能な1種類のデータリポジトリを持つことは、同じチェーン上のすべてのレコードに完全にシームレスかつタイムリーにアクセスできることを意味します。
  • 各ブロックの要素 (参照、連鎖参照、タイムスタンプ)は、データが透明で監査可能であり、ケア提供および法的手続きの両方で信頼できることを意味します。
ヘルスケアのどこでブロックチェーンは役立つか?
ヘルスケアにおけるブロックチェーンは、単一の分散型システムに組み込むことで、患者中心のケアの効率と質に革命をもたらす可能性があります。
  • 個人健康記録
  • 発見可能で関連性があり最新のエビデンスを持つ臨床試験データ
  • 医療機器、特にIoT対応ヘルスモニター
  • 一般的及び個別化された医薬品および調剤情報
実際、あらゆる関連情報を個々の医療記録にリンクさせることができ、この自由にアクセス可能な個々のデータは多くのことを意味します。個人にとっては、健康データの所有権、ヘルスケア提供者の選択、そして緊急事態の記録への即時アクセスを意味します。公衆衛生や研究にも影響があります。分散した相互運用可能な情報(個人のプライバシーニーズがある場合でも)は、巨大な人口統計学的パターンの入手を意味し、国内および国際的な健康動向や危機への取り組みを根本的に変えることができます。
ブロックチェーンとその先
ヘルスケアのブロックチェーンを医療におけるモノのインターネットから切り離すことは不可能であり、個人の健康やライフスタイルを監視するためのウェアラブル機器と相互運用可能なシステムを持つことは、病気の診断と管理に応用できるでしょう。 IoTヘルスモニターを使った健康的な暮らしの変更不可能な記録は、保険会社への通知にも使用できます。ドライバーのための「ブラックボックス」保険のように、健康的な食事、禁煙およびアルコール摂取に関する規則を守っていることの証明は、保険料と公衆衛生の両方に良い影響を与える可能性があります。しかし、保険会社が人々の行動を継続的に監視し、彼らが残念な選択をしたことに対して財政的に罰する能力を持つという考えには、やや厄介な側面があります。
ブロックチェーン技術をヘルスケアに取り入れるべき理由がありますが、世界中の膨大な量の個人健康記録および臨床データを考えると、健康データの遡及的記録および継続的なブロックチェーンの使用はロジスティクス的に圧倒されてしまいます。しかし、他の主要な機能シフトについても同じことが言えます。ブロックチェーンは、医療におけるその使用の初期の段階にある間に、可能性がある限りテストするよう試みる必要があります。